2018年の初めからずっと走り続けてきたひとつの企画が日の目を見ることになった。
Tokyo Cowboysというインディペンデント映画製作チームで僕が監督したコメディ作品「The Benza シリーズ1」(全6話)が、この度 Amazonプライムビデオにて最終話までの全エピソードが公開となった。
(Amazonプライムビデオで"The Benzaシリーズ1"を観る方はこちらから)
僕たちTokyo Cowboysは、この作品に多くの期待と可能性を賭けていた。
ひとつは、今の時代を見据えたエンターテイメントとしてのコメディドラマという観点。
そしてもうひとつは、これからのインディペンデント作品の可能性としてのオンデマンドドラマへのチャレンジだった。
〈時代を見据えたコメディ〉
すでに"The Benza"を観た方は「そんな大げさな内容かよ!」と思わずツッコミを入れたくなるだろう。
それくらいドラマの内容はハチャメチャだし、物語を通して伝えたいテーマやメッセージは皆無に等しい。
どうしてそれが時代を見据えたコメディなのか?
その答えはこの作品のコンセプトにある。
世界中で今何が起きているのか。時代に必要な作品とは何だろうか?
イギリスのEU離脱やトランプ大統領のポピュリズムに傾いた政策にはじまる世界中の人々の分断。
世界の覇権を視野に入れた新興国の台頭。世界中で高まる衝突の危機や高まる不安。
暗く先行きの見えない混沌とした時代だからこそ、底抜けに明るく、人々の心を繋ぐような作品が必要なのではないか?
僕たちは、世界中の人々が様々な垣根を越えて笑い合えるハッピーでピースフルなコメディを作るべきだと考え、本作に取り組んだのだ。
〈これからの映画製作の行く末〉
映画を興行する場合、つい10年ほど前までは限られた方法しか選択肢がなかった。
映画館で作品を上映し、どれだけの観客を動員したのかでその作品の市場価値が判断されるという非常にシンプルな方法が概ね一般的だった。
しかし2019年の現代、コンテンツの消費形態は急速な変化を遂げた。
今やほとんどの人がスマホやタブレットで映像作品を気軽に観ていることを否定できる人はいないだろう。
さらに、作品を制作するための機材は低価格で入手できるようになり、制作環境の低コスト化が可能となった。
これは映画制作の形態にも大きな変化をもたらしている。
我々は新しい時代のインディペンデント制作チームとして、これまでの流れにとらわれない新たな戦略として独自の販路を開拓することに舵を切った。
その動きが功を奏しインディペンデント作品では非常に珍しいAmazonプライムビデオへの参入が実現したのだ。
今回のチャレンジはまだまだ道半ばではあるが、我々はこれからも独自の視点で新しい時代の映画制作のあり方を模索し続ける。
50年前に月面に立ったアームストロング氏の言葉が浮かぶ「私にとっては小さな一歩だが...」。
日本から世界に向けて、多くの人に刺さるコンテンツを作り続けていくという熱い志と開拓精神を胸に、我々はこれからもインディペンデントチームとしての大きな跳躍を目指し、走り続けていきたいと思う。