STEP1
短編映画を制作し2018年春にWEBで全編無料公開
STEP2
上映会と併せたトークイベントを各地で開催し、児童擁護のその先を考える機会を創る
STEP3
短編映画をもとにした長編作品を制作し、劇場公開を目指す
僕が児童養護施設で暮らしていた頃、自分の将来がとても不安で恐ろしかったことを覚えています。
進学はお金がかかる。しかし親は頼れない。働きながら、自分の力だけでやっていけるのだろうかー。
おそらくこの不安は、現在施設で暮らす多くの子供達が感じている不安と同じものだと思います。
実際、2015年の厚生労働省のデータによると児童養護施設の児童の大学進学率は23%で、全国平均の77%に比べると、とても低いことがわかります。
(進学後に生活費と学費を稼ぎながら学校に通うことが難しくなり中退するケースも非常に多いです)
進学を選ばなかった若者達の多くは、高卒、または中学卒業後にすぐに働き始めます。
一般の家庭の子どもと違い、施設で暮らす子ども達には将来の夢や可能性が非常に制限されているのです。
その原因はいたってシンプルで、児童養護施設で暮らす子ども達のほとんどが、家庭に何らかの問題があり、施設を退所してからは頼れるものがなく、自分1人の力で生活しなければならないためです。
さらに僕が深刻だと感じるのは、児童養護施設の子ども達の多くが、幼少期に家庭で虐待を受けていた経験があるということです。
本来は無条件で愛され、大切にされることが必要な期間に、親から存在を否定され傷つけられた子ども達は、『自己肯定感』を持つことが出来ません。
自己肯定感が低いことで、常に劣等感や生きづらさを抱えており、困難にぶつかった時に、それを乗り越える力も弱くなってしまうのです。
(個人的な活動として、児童養護施設の子ども達の自己肯定感を育むことを目的とした絵本作り活動を行なっています)
もちろん 施設を出た若者達の中には、立派に働き、家庭を作り幸せな生活を送っている者もたくさんいます。
しかし、性産業に従事する女性の割合が非常に多かったり、仕事が続かず収入が減り続けてホームレスになってしまうケースや、犯罪者になってしまう事例も目を背けられないほど多くあるのも事実なのです。
一般の世間では「施設で育ててもらったんだから、その後はどうなろうと自己責任だ」という厳しいご意見もあることでしょう。
そんな方にも、そうでない方にも、もっと施設を巣立った後の若者達の現状を知ってもらいたい。どんな不安を抱えて、どんな人生を歩んできたのか、自分の事のように感じて欲しい。そんな想いで僕はこの映画を企画しました。
僕は、施設で暮らす子ども達と一般の子ども達の間にあるギャップはもう少し埋められるべきだと思っています。
施設を巣立っていく子供達が、もっと生きやすい社会、夢を叶えたいと思える社会になるべきだと思っています。
そのために我々は何ができるのか、多くの方が問題意識を持ち、自分ができる行動をすることで社会が変わると信じています。
西坂來人